Google広告のアトリビューションモデルを理解する
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なぜ、コンバージョン値に小数点が?
Google広告を運用していると、「コンバージョン(以下:CV)に小数点が付いていて、なぜだろう」と思いませんか?
リスティング広告の運用代行をしていると、広告主様からほぼ確実に聞かれる質問です。
一般的に、コンバージョンは「お申込み完了数」や「購入数」など、Webサイトのビジネスゴールに合わせて設定されることが多く、それらの回数に小数点が付くのは不思議ですよね。
同じような疑問を抱いていた方、いまいちアトリビューションモデルを理解できてない方は、ぜひ最後までご覧ください。
アトリビューションモデルとは
アトリビューションモデルの定義
このご時世、広告をクリックして即コンバージョンに至るケースはそう多くはありません。皆さんも、何か商品やサービスを購入したり資料請求するときは、比較検討してから購入に至ると思います。
このように、ユーザーはコンバージョンに至るまで複数回、広告と接点を持つ可能性があります。このように、コンバージョンに至るまでにクリックした各広告や検索キーワードの貢献度に応じて評価の重みづけを行うことをアトリビューションモデルと呼びます。
Google広告などは、各広告や検索キーワードの貢献度を元に機械学習を行い、見込み客に最適な広告を表示させることができます。
Google公式ヘルプでは下記の通り定義されています。
コンバージョンに至る経路で、ユーザーは複数の検索を行い、同じ広告主の複数の広告と接点を持つ可能性があります。コンバージョン達成までに発生した各クリックに対して、貢献度に応じた評価を行う枠組みをアトリビューション モデルと呼びます。
アトリビューション モデルにより、各広告の成果を把握できるため、ユーザーのコンバージョン経路全体で広告を最適化する際に活用できます。
アトリビューションモデルの種類とそれぞれの定義
アトリビューションモデルには下記の6つのモデルが存在します。それぞれの定義は下記のとおりです。
(※公式ヘルプから引用)
ラストクリック
コンバージョン経路で最後にクリックされた広告とそれに対応するキーワードだけに貢献度を割り当てます。
ファーストクリック
コンバージョン経路で最初にクリックされた広告とそれに対応するキーワードだけに貢献度を割り当てます。
線形
コンバージョン経路で発生したすべてのクリックに貢献度を均等に割り当てます。
減衰
コンバージョンまでの時間が短いクリックに、より多くの貢献度を割り当てます。貢献度は 7 日間の半減期を使って割り当てられます。
接点ベース
コンバージョン経路の最初と最後にクリックされた両方の広告とそれに対応するキーワードにそれぞれ 40% の貢献度を割り当て、それ以外でクリックされた広告とそれに対応するキーワードに残りの 20% を均等に割り当てます。
データドリブン
このコンバージョン アクションの過去のデータに基づいてコンバージョンの貢献度を割り当てます。
それぞれのアトリビューションモデルの特徴は?
定義をおさらいしたところで、アトリビューションモデルによってCVはどのように変化するのかご説明します。
条件
下記の条件でラストクリック、ファーストクリック、減衰の3モデルについてご説明します。
- 7日前に「キーワードA」経由で流入した(未コンバージョン)
- 今日(0日前)、「キーワードB」経由で流入してコンバージョンした
- 計測期間は30日間とする
ラストクリックモデルのCV値
ラストクリックとなるキーワードBのCVが1となります。
- キーワードAのCV(7日前):0
- キーワードBのCV(0日前):1
ラストクリックモデルを選択すると、ラストクリックであるキーワードBに貢献度を割り振って機械学習を行うので、キーワードBを重視した広告配信が行われる可能性が高くなります。よって、入札戦略「コンバージョンの最大化」を設定している場合は、機械学習がキーワードBの入札価格を上昇させて配信する可能性があります。
ファーストクリックモデルのCV値
ラストクリックの逆で、ラストクリックとなるキーワードBのCVが0となり、ファーストクリックのキーワードAのCVが1となります。
- キーワードAのCV(7日前):1
- キーワードBのCV(0日前):0
ファーストクリックモデルを選択すると、ファーストクリックであるキーワードAに貢献度を割り振って機械学習を行うので、キーワードAを重視した広告配信が行われる可能性が高くなります。よって、入札戦略「コンバージョンの最大化」の設定をしている場合は、機械学習がキーワードAの入札価格を上昇させる可能性があります。
減衰モデルのCV値
上述の定義の通り、貢献度は7日間の半減期を使って割り当てられるので、CVから期間が経つにつれて下図の通り貢献度が減衰していきます。
今回の条件下では、それぞれの貢献度は下記の通りになります。
- キーワードAの貢献度(7日前):0.5
- キーワードBの貢献度(0日前):1
1コンバージョンに対して上記の貢献度の割合で割り当てると、CV値は下記の通りです。
- キーワードAのCV(7日前):0.33333….
- キーワードBのCV(0日前):0.66666….
減衰モデルを選択すると、コンバージョンまでの時間が短い接点に、より多くの貢献度を割り当てて機械学習を行います。ラストクリックを重視しつつ、その他のクリックの貢献度も配慮した広告配信が行われる可能性が高くなります。
アトリビューションモデルを活かすためには?
上述の通り、どのアトリビューションモデルを選択するかによって、機械学習による最適化の挙動が異なります。検索広告の顕在キーワードでインプレッションシェアが伸びずコンバージョンの増加が見込めないアカウントの場合は、より積極的なアトリビューションモデルの「線形」や「接点ベース」を採用してみてはいかがでしょうか?