COLUMNコラム

経営は「シンプルにする」と上手くいく


グラシズ代表の土谷です。

先日、40歳になりました。

1年前の39歳になったときのSNS投稿で、今年のテーマは「心身共に穏やかに」と書いてましたが、この1年はまさに、

  • 無理せず、
  • 心身ともに穏やかに

を地でいった感じです。

ここ半年ぐらいは、自分が幸せだと感じる価値観はなんなのか、人生をどう過ごすのか。自分の「価値観」について深く考える時間が増えました。

人生の今のフェーズは自分のために、と言うよりも、だんだん他の人のために、特に子どもが小さいうちは、子どもと一緒に多くの時間を過ごす方が、10年後を振り返ったときに自分自身が納得する、と思っています。

また、社員や協力パートナーの皆さんのことも考えて、経営をする上で決めたことが3つあります。

  1. 得意分野に絞る。
  2. 仕組みでパフォーマンスを出す
  3. フローではなく、ストックに全集中

その結果、

  • 年度開始時点で黒字達成
  • スタッフの週稼働40時間以内の達成
  • 毎週水曜はクライアントワークは入れず、未来に向けた時間に当てる

という高い生産性を達成する状況になりました。

会社の方針を再構築する際に考えたことをご紹介します。

「解釈が分かれる仕事」は苦労する

振り返ると「人によって解釈が分かれる仕事」は、コミュニケーションコスト(時間と労力)がかかる、という当たり前のことに気づかされます。

例えば、ホームページ制作という仕事の場合

  • 多種多様なお客様のビジネスに合わせた適切なホームページ設計
  • お客様のデザインの好み/デザイナーのスキルや得意分野のすり合わせ
  • 多種多様なお客様の好み・性格・立場に合わせたディレクション
  • お客様の文章の好み/ライターのスキルや文体のすり合わせ
  • 関係者の階層構造が増えるほど、コミュニケーションコストが増える
  • 予算、納期に納めながら関係者を取りまとめるディレクションスキル

といった多くの「変数」が存在します。

上記を、全ての案件でコンスタントに高い水準で遂行できるWeb制作会社はそう多くないと思います。

グラシズでも、ホームページ制作やランディングページ制作を積極的に請けていた時期は、常に社内・社外の調整に追われている感覚がありました。

最初の数年は経験を積むという意味で「必要な時期」と考えていましたが、そこから5年~10年経った先に、明るい未来がグラシズとしてはイメージできず、それを続けるのは賢明ではないな、と判断しました。(あくまで制作を専門としない弊社の場合です)

「複雑なサービス」は苦労する

サービスというものは、品質の不安定化につながる次のような性質を持っています。

  • 買う前に、見たり触ったり味わったりできない
  • 誰が、なにを、誰に提供するかによって、その都度提供されるサービス内容が変動する
  • ラインナップが増えるほど、必要な人手が増え、稼働率を維持するのが難しくなる
  • プロセスが増えるほど、ミスや不具合が発生しやすくなる

また、中小企業は「会社の実力≒社長の実力」です。

自社も含め中小企業は、社長が得意な領域は高い品質を安定供給でき、不得意な領域は安定供給できない傾向があります。

経営は「シンプル」にすると強くなる

そこでグラシズは、

  1. 人によって解釈が異なる変数の多い分野、かつ単発案件はお請けしない
  2. 社長である土谷の得意分野、かつストック案件に絞る
  3. オペレーションをシンプルにし、仕組みでパフォーマンスを出す

という方針へ舵を切りました。

具体的な主な取り組みとしては以下です。

  1. 受注条件の絞り込み
  2. 品質向上・オペレーションの改善
    1. ノウハウや定型業務のマニュアル化、自動化
    2. 定期的な社内勉強会
  3. 時間と場所を固定する風習の廃止
    1. オフィス、固定電話の廃止

①受注条件の絞り込み

まず1つ目の取り組みとして、「人によって解釈が異なる変数の多い分野、かつ単発案件はお断りする」という受注条件を明確化しました。

成果に関係しない論点には関わらない

Webマーケティングという売上やリードという厳格な成果を求められるサービスにおいて、「人によって解釈が異なる」点のすり合わせに多くの労力を割いても経験上、成果に関係しないケースがほとんどです。

髪型や服装、ライフスタイルといった領域では大いに個人の好みを追及すべきですが、Webマーケティングという費用対効果を求める領域では、成果に関係しない論点にこだわり過ぎるのは賢明ではないと考えています。

ライフタイムバリューを重視する

「新規顧客獲得コストは、既存客の獲得コストに対して5倍のコストがかかる」と言われ、リピートのないビジネスは、常に新規顧客の獲得に多くの労力を割く必要があります。

その一方で毎月、毎年のリピートが確定しているビジネスは、売上が安定し、その分サービス向上に労力を費やすことができます。

そもそもビジネスは最初から「リピートが望める領域を選ぶ」、「リピートを生むサービス設計で構築する」のが理想です。

2022年のグラシズの方針としては、

  • マーケティングコンサルティング、Web広告運用に限ってお請けする
  • 単発の制作案件はお請けしない(例、ホームページ、ランディングページ、バナー制作)
  • Web広告運用の成果が伸びる余地がある場合に限って、ランディングページ制作はお請けする

というルールを決めています。

②品質向上・オペレーションの改善

ノウハウや定型業務のマニュアル化、自動化

高品質なサービスを提供するためには、

  • 【個の力】個々人の高いスキルで高品質なサービスを提供するパターン
  • 【組織の力】高いクオリティを再現性高く組織の力で提供するパターン

の2つの大きな方向性があります。

グラシズの代表を務めている土谷という人間のパーソナリティは元来、「個の力」を高めることを志向するプロフェッショナルタイプの資質を持っています。

この「個の力」に志向が行くが故に、以前はクライアント毎にオーダーメイドでサービス提供していたため、お請けできる案件量に制限があり、会社として一定規模で成長が鈍化する体制であったと反省します。

「仕組みでパフォーマンスを出す」という方針実現のために、経験やセンスによる暗黙知の業務内容を、体系化し再現性を持たせる必要があります。
そこで、受注条件を絞ることで提供サービスが絞られ、体系化を進めやすい環境を意図的に作り出し、高い品質を再現性高く提供できるように取り組みました。

取り組み例
  • Googleドキュメント、スプレッドシート、動画でのマニュアル化
  • 商談・要件定義・設計・実施・運用に係るドキュメントのフォーマット化
  • 決まったフローが存在する業務は、Backlogでガントチャート、タスクのテンプレート化
  • チェックシート
  • 業務効率化システムの内製

これらのテンプレートは実際の運用ではある程度クライアント毎にカスタマイズして提供する必要はありますが、可能な限りドキュメント化し、ブラッシュアップを続けています。

バックオフィスの効率化

バックオフィス業務のシステム化、自動化は以前からおこなっていたのですが、バックオフィス業務は数年前と比べると、比較にならないぐらい効率化されました。体感的に作業時間が1/10ぐらいに削減された感じです。

昔は大手企業でしかできなかったようなバックオフィス業務が、クラウドツールの充実により零細企業でも安価かつ簡単に処理できるようになったのは本当にありがたい時代です。

定期的な社内勉強会

週2回30分間、各担当者がもっている案件に対して、上長のコンサルタントが課題解決のアドバイスやアイデア出しをするサポート体制を敷いています。

また、ノウハウをドキュメント化した際や、新技術が出てきた際に、サービスレベル向上、スキルアップ向上を図るために、定期的な勉強会を実施しています。

マニュアル化やシステムを導入しても、活用が不十分だったり、時間が経過して形骸化してくると効果を発揮しないため、定期的な勉強会やチェックの場は非常に重要です。

③時間と場所を固定する風習の廃止

オフィスの廃止、通勤の廃止

提供サービスを絞ったことで、オフィスの必要性がほぼなくなったため思い切って完全フルリモート化しました。
その結果、福岡以外に住んでいる人材を採用でき、現在は福岡、北九州、佐賀、名古屋、北海道と各地にスタッフが住んでいます。これもクラウドツールが充実した恩恵です。
また、オフィスを無くしたことで通勤が不要になり、個人的に1日2時間ほど更に時間が確保できるようになったのは、仕事・人生の充実においてかなり大きいと感じています。

固定電話の廃止

事務所の固定電話に拘束されるのが嫌で、もともと電話代行に転送していましたが、フルリモート化にあたって固定電話も廃止しました。法人として固定電話がないのはいかがなものか?という気持ちもありましたが、結果的にまったく支障はありません。むしろ「電話が全く鳴らない!」という解放感の方がメリットが大きいと感じています。

最後に

工学の世界では物質の評価軸として「硬さ」、「粘り強さ」という2つの概念があります。

例えばドリルの刃は、削るものよりも硬い素材である必要がありますが、「硬い」だけでは刃が折れやすく削るための刃として使用することができません。そこで同時に必要なのが「粘り強さ(柔軟性)」です。粘り強さがあると刃が折れてしまうのを防ぐことができます。

会社経営においても、鋼の硬さと、粘土のような粘り強さの両立が重要と考えています。

1つのサービスに絞ると、硬くて強いですが、有事が発生した際の粘り強さ、柔軟性に欠ける。
その一方、多角化していろいろなサービスに手を出すと、1つ1つのサービスが弱くなる。

「硬さ」と「粘り強さ」のバランスを取りながら土谷の役目として、組織としてお客様や関係者への価値提供を最大化するための仕組みを考え実行していきます。


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