リスティング広告の費用と目標達成にベストな予算の決め方を解説
「リスティング広告の出稿を検討しているが、費用相場がイマイチわからない」という方も多いのではないかと思います。あるいは、「ざっくりとした費用相場はわかっても、具体的にどのような費用がかかるのかはわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、リスティング広告の費用相場やかかる費用一覧、獲得できる成果やリスティング広告にかかる費用のシミュレーションなどについてご説明します。
記事を読めば、リスティング広告をWebマーケティング施策として採用すべきかどうか判断できますので、ぜひ最後までご覧ください。
コンテンツ
リスティング広告に必要な費用一覧
リスティング広告の費用をご説明する前に、簡単にリスティング広告の概要について触れておきます。
「リスティング広告」と呼ばれる広告には、「検索連動型広告」、「ディスプレイ広告」、「ショッピング広告」が含まれます。
検索連動型広告
検索連動型広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索した際に、検索結果の上部や下部などに表示されるテキスト形式の広告です。一般的には「リスティング広告」というと「検索連動型広告」のことを指している場合も多いです。課金方式はクリック課金のみで、1クリックごとに費用を支払います。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリ、動画サイトなどで表示される広告で、「バナー+テキスト」の形式で表示されることが多い広告です。「検索連動型広告」とは違い、クリック課金だけではなくインプレッション課金と呼ばれる課金方式も選べます。広告が見られた回数だけ費用が発生するのがインプレッション課金です。
ショッピング広告
ショッピング広告とは、Googleの検索エンジンで検索した際に商品の画像と価格などが表示される広告です。ショッピング広告の場合、個別に広告を作成する必要はありません。Merchant Centerに商品リストを登録しているだけで、Googleが勝手に広告を作成してくれます。
さて、リスティング広告に必要な費用の一覧表を以下に作成しました。自社で運用するケースと、代理店に依頼して運用するケースで比較してみてください。
かかる費用 | 社内で運用するケース | 代理店に依頼するケース |
人件費 | 給与(20万円〜70万円程度) 採用コスト(約62万円) 教育コスト(30万円程度) | なし |
代理店手数料 | なし | 広告費の20% + 3万円〜10万円程度 |
広告費実費 | 20万円〜50万円程度 | 20万円〜50万円程度 |
LP制作・改善費 | 数万円〜60万円程度 | 数万円〜60万円程度 |
バナー画像制作費 | 3,000円〜10,000円程度 | 3,000円〜10,000円程度 |
本章では、上記の表内にあるそれぞれの費用について詳細にご説明します。
社内で運用するケース
リスティング広告を社内で運用する場合に、どのような費用がかかるかについてご説明します。
人件費
社内でリスティング広告を運用する場合、担当者をつけてコミットさせなければなりません。初歩的な設定だけで運用するのであれば片手間でも運用できますが、本格的に運用しながら継続的に広告効果を改善していくとなると、フルコミットさせる必要も出てきます。単純に計算して、リスティング広告運用経験のない人材一人をコミットさせるにしても、月額20万円代半ば程度はかかるでしょう。リスティング広告運用経験がある人材であれば、月額30万円程度はかかります。
自社にリスティング広告運用経験のある人材がいない場合、中途採用するのも選択肢です。株式会社リクルートの就職白書2020によると、中途採用における一人当たりの平均採用コストは62万円です。あくまで平均の採用コストなので、リスティング広告の運用経験が豊富な人材を採用するとなると、100万円程度はかかってくることも想定されます。
本格的にWebマーケティングチームを社内に立ち上げようとして、責任者レベルの人材を採用するケースもあるでしょう。当然ながら、採用コストはさらにかかります。その上、月額60万円〜70万円程度の給与を支払う必要も出てくるでしょう。
採用せずに自社社員を教育するという選択肢もあります。リスティング広告運用の研修コスト相場は30万円程度です。初歩的なリスティング広告運用だけでなく、本格的な運用を自社で実現したいと考えた場合には、30万円のコストを支払って研修を依頼してもいいでしょう。
広告費実費
リスティング広告の費用相場は、1ヶ月に20万円〜50万円程度と言われています。市場からまだ認知されていない商材であれば、100万円程度の予算が必要になる場合もあるでしょう。ただし、最低出稿単価はありませんので、実際には数千円程度から出稿することもできます。
リスティング広告は、クリック課金の場合、1クリックあたり数百円〜数千円で費用が変動します。1クリックあたりの費用の変動はオークションで決まるので、その度ごとに変動します。競合よりも自社のリスティング広告の品質がよかったり、予算が多かったりする場合にはクリック単価が下がっていきます。
リスティング広告は途中で停止することも容易です。よって、最初は少なめの予算で広告運用をスタートして、途中で当初の予算を上回りそうになった際に広告を停止すれば、予算オーバーになる心配もありません。
LP制作・改善費
リスティング広告には、広告をクリックした際に遷移するLP(ランディングページ)が必要です。LPによって自社商品が売れるかどうかも決まってくるので、LP制作に力を入れている企業も多いです。
LP制作は、最安値では数万円程度から依頼できます。しかし、ある程度実績のあるWebマーケティング会社やWeb制作会社に依頼するとなると、30万円〜60万円程度はかかります。
自社でLP制作ができるWebデザイナー人材がいればいいですが、そのような人材がいない場合には、外部に依頼したほうがより高い成果を期待できます。LPにもこだわりたいのであれば、自社人材をコミットさせて継続的にLP改善に取り組ませるのもいいでしょう。
ただし、リスティング広告を出稿する際に、新しくLPを制作しなければならないという決まりはありません。お試し程度にスタートするのであれば、自社サイトのトップページや商品紹介ページに遷移させるだけでも十分でしょう。
バナー画像制作費
ディスプレイ広告を出稿する際、「バナー+テキスト」形式で出稿するケースが多く、バナー作成の必要が生じます。
バナー作成を外注する場合には、静止画の場合、3,000円〜10,000円程度が相場です。
また、ディスプレイ広告では動画形式で出稿することもできます。動画形式で広告を出稿する場合、数万円〜100万円まで価格は変動しますが、一般的には数万円〜50万円程度で作成できます。
「検索連動型広告」はテキスト形式なのでバナー作成の必要はありません。また、「ショッピング広告」も商品画像が必要になるだけですので、バナーは不要です。
代理店に依頼するケース
代理店にリスティング広告運用を依頼する場合にはいくら程度の費用がかかるのか、本章でご説明します。
代理店手数料
広告代理店にリスティング広告運用代行を依頼する場合、以下の2つの費用がかかります。
- 初期設定費用
- 運用代行手数料
リスティング広告は、初期設定のやり方次第で成果も大きく変わってきます。したがって、運用だけでなく初期設定も重要な作業と言えます。広告代理店による初期設定費用の相場は3万円〜10万円程度です。
運用代行手数料は、広告費用の数%を引かれる形式の費用体系にしている代理店が多いです。手数料の相場は、広告費用の20%と言われています。100万円の広告費用を使うのであれば、20万円、50万円の広告費用を使うのであれば、10万円が手数料ということです。
ほかにも、広告費用が一定金額以下であれば、運用代行手数料は一律で数万円、としている代理店もあります。
広告費実費
広告代理店にリスティング広告の運用代行を依頼したとしても、広告費用は自社で負担しなければなりません。
自社負担分の広告費用の相場は、上述した通り、20万円〜50万円です。
LP制作・改善費
リスティング広告運用代行を依頼する場合に、LP制作もセットで依頼できる広告代理店もあります。しかし、広告運用代行の手数料にはLP制作費用は含まれていないことが多く、LP制作費用は別で考えなければなりません。
上述した通り、LP制作の手数料は安いものでは数万円、しっかりしたものだと30万円〜60万円程度が相場になります。
バナー画像制作費
バナー画像の制作は、広告運用代行のサービスメニューには含まれていないことが多いです。上述した通り、バナーの静止画一枚あたり3,000円〜10,000円程度の費用がかかります。
リスティング広告で成果を上げるために必要な予算の決め方
上述した通り、リスティング広告には「検索連動型広告」、「ディスプレイ広告」、「ショッピング広告」の3種類がありました。それぞれGoogle、Yahoo!広告には以下のように対応しています。
Google広告 | Yahoo!広告 | |
検索連動型広告 | ◯ | ◯ |
ディスプレイ広告 | ◯ | ◯ |
ショッピング広告 | ◯ | ✕ |
本章では、それぞれの広告で成果を上げるために必要な予算の決め方についてご説明します。
購買意欲別の配信手法とそのCPA相場
広告効果を測定するためにも、予算を決めるためにも、CPAという概念が重要になるのでご説明します。
CPAは、Cost Per Acquisitionの頭文字をとってつなげた略称で、日本語では「顧客獲得単価」と訳されます。CPAとは、顧客一人を獲得するのにかかった費用のことです。たとえば、ユーザーが資料請求をすることがゴールと設定します。このときに、広告を使って資料請求1件を獲得するのにかかった費用がCPAです。
弊社グラシズで、「検索連動型広告」、「ディスプレイ広告」、「ショッピング広告」それぞれについて目的(コンバージョンポイント)ごとのCPAをまとめました。
検索連動型広告の場合
コンバージョンポイント | CPA相場 |
セミナー集客(申し込み) | 20,000円~50,000円 |
通販(注文獲得) | 2,000円~20,000円 |
ホワイトペーパーダウンロード | 3,000円~10,000円 |
メルマガ申込み | 2,000円~8,000円 |
ディスプレイ広告の場合
コンバージョンポイント | CPA相場 |
セミナー集客(申し込み) | 20,000円~50,000円 |
通販(注文獲得) | 2,000円~20,000円 |
ホワイトペーパーダウンロード | 3,000円~10,000円 |
メルマガ申込み | 2,000円~8,000円 |
ショッピング広告の場合
商材や価格によりますが、以下の幅です。
コンバージョンポイント | CPA相場 |
通販(注文獲得) | 2,000円~20,000円 |
上記はそれぞれ、1件のコンバージョンを獲得するためにかかる費用です。獲得したいコンバージョン数と、上記のそれぞれのCPAから逆算することで、予算を決めることができます。
配信手法によって見込める成果
リスティング広告には、「検索連動型広告」、「ディスプレイ広告」、「ショッピング広告」の3つの配信手法がありました。
それぞれの配信手法ごとに、見込める成果は異なります。本章でそれぞれについてご紹介します。
検索連動型広告の場合
検索連動型広告は、検索したユーザーに対して訴求できる広告です。検索ユーザーは元々商品・サービスに対する熱量が高いことも多く、資料請求や購入につながりやすいです。
しかし、検索エンジンの上部や下部に表示される広告枠には限りがあり、想定できる入札キーワードも限られています。そのため、獲得できるコンバージョン数には上限があります。
興味・関心の高いユーザー層に着実に訴求したい場合におすすめの配信手法です。
ショッピング広告の場合
ショッピング広告は、商品の画像や価格を検索ユーザーなどにダイレクトに表示できます。
ショッピング広告も見込めるキーワード数と、キーワードのインプレッション数に限界があるため、想定できるコンバージョン数には限界があります。
商品をダイレクトに訴求してユーザーに購入させたい場合に有効な配信手法です。
ディスプレイ広告の場合
ディスプレイ広告の場合、以下の2種類のどちらを選ぶかで想定できるコンバージョン数が変わります。
- リターゲティング広告の場合
- ターゲティング広告の場合
リターゲティングとは、一度Webサイトに訪れたり、購入したことがあるユーザーをターゲティングできる機能です。アクションしたことがあるユーザー数には限りがあるので、想定できるコンバージョン数にも限界があります。
ターゲティング広告の場合、ターゲティングした興味・関心を持つユーザー全てにアプローチできます。したがって、検索連動型広告やショッピング広告と異なり、リーチできるターゲット層は非常に多くなります。また、その先の想定コンバージョン数も必然的に増えます。
課金方式について
リスティング広告の課金方式には、クリック課金(CPC)とインプレッション課金(CPM)の2種類が存在します。
クリック課金は、その名の通りクリックごとに課金する課金方式です。他方、インプレッション課金は、ユーザーが1,000回広告を見るごとに費用が発生します。
選択すべき課金方式は、達成したい目的によって変わります。例えば、ユーザーから商品に対する認知を獲得したい場合は、インプレッション課金を選択すべきです。インプレッション課金を利用すれば、より多くのユーザーに広告を表示させるように広告が配信されるからです。
ユーザーが比較検討している場合や、購入を迷っている場合には、より購入に近い「検索連動型広告」か「ショッピング広告」を選択しましょう。インプレッション広告でより多くのユーザーに届けるよりも、成約に近いキーワードを検索エンジンに入力しているユーザーを狙うほうが、コンバージョン数は増えます。
あなたのビジネスにおいて、リスティング広告は費用対効果が合うのか?
あなたのビジネスのプロモーションにおいて、リスティング広告の費用対効果は本当に高いのでしょうか。費用対効果を精査するために、本章で予算の立て方やシミュレーションのやり方についてご説明します。
目標CPAと適切な予算の算出方法
CPAとは、顧客一人を獲得するためにかかる費用のことでした。通常、Web広告の予算を決める際には、目標CPAを設定します。
目標CPAを算出するために、限界CPAを算出します。限界CPAは、「商品単価 – 原価」です。5,000円の商品で原価が3,000円であれば、限界CPAは2,000円です。
限界CPAが求められたら、そこから利益として残したい金額と、経費としたい金額を決めます。たとえば利益は1商品あたり500円、経費も500円としましょう。利益と経費の合計金額を限界CPAから引いた金額が、目標CPA = 1,000円となります。
目標CPAが算出できたら、獲得したい成果件数に目標CPAをかけ合わせて、予算が算出できます。
広告費と成果をシミュレーションする
社内で予算を申請する上で、広告費と成果をシミュレーションすることが必要になる場面もあるでしょう。本章で、シミュレーションのやり方をご説明します。
予想されるCPC、CVRから推定CPAを算出する
予想されるCPC、CVRから推定CPAを算出する方法もあります。
CPCとは一クリックあたりの費用のことです。また、CVRとは、広告をクリックした人のうち、どれくらいの割合の人が成約まで至るかを計測した割合のことです。
CPCとCVRは、業界や業種ごとに一般的とされている水準があります。その数字を代理店に聞くなどして調べることで、シミュレーションの土台となる数字が出ます。
「CPA = CPC × CVR」なので、両方の数字がわかれば、あとは計算するだけです。
推定CPAが出たら、目標とするコンバージョン数とかけ合わせれば予算が算出されます。
「楽観ー普通ー悲観」のシミュレーションを作成する
複数通りのシミュレーションを作成した上で予算を算出するほうが無難です。
楽観的なケースから悲観的なケースまで数字を用意して、合意が得られるシミュレーションに基づいて予算を算出すればいいでしょう。
CPAについての考え方
CPAについてよく誤解されがちなことがあります。というのは、「CPAは低ければ低いほどいい」というものです。しかし、CPAが低くても、目標CPAを上回っていなければ利益は出るわけです。したがって、気にすべきなのはCPAを下げることではなく、目標CPAを上回らずにいかにコンバージョン数を増やしていくか、ということです。
まとめ
リスティング広告運用を始める際には、「失敗しても致命傷にならない範囲の予算で始め、効果が出るようなら予算を増やしていく」というやり方がベストです。
検索連動型広告・ショッピング広告で顕在層を確実に獲得し、ディスプレイ広告で準顕在層の獲得にチャレンジしていくのが基本です。
そして、予算を増額するタイミングは、主に3つです。
- 目標CPAを達成し、さらにCV(コンバージョン)数を増やす場合
- 検索広告で顕在ユーザーの獲得件数の上限に達したと判断したときに、準顕在ユーザーをディスプレイ広告で獲得を狙う場合
- 目標CPAを超えることを覚悟で、新規獲得数を増やしたい場合
顕在ユーザーの獲得件数の上限を判断するためのポイントは、以下の2つです。
- キーワードのインプレッションシェア率が80~90%のとき。
- キーワードのインプレッションシェア率に伸びしろはあるが、伸びしろを増やそうとした場合に改善を試みたが実質CPAが、目標CPAを達成できない場合
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